こんにちは、キキ・コンサルティング代表の石田です。
すっかり寒くなって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
本日は、弊社が得意とする使用者賠償責任保険について具体例を交え、記事を書きたいと思います。
■ 使用者賠償責任保険とは
使用者賠償責任保険は、従業員の労働災害で企業に損害賠償責任が生じた場合に備える保険をいいます。
企業側の過失が認められて損害賠償責任を負った際に
労災保険金を上回る分の補償や和解のための費用、弁護士費用等が支払われるものです。
■ 企業に損害賠償責任が生じた場合とは?
では、企業側に損害賠償責任が生じる場合とは、どんな場合でしょうか?
明らかに企業側の指示が悪く、従業員がケガをしてしまった場合はもちろんのこと
病気になってしまった、という場合も企業責任が問われることもあります。
■ 実際の判例を参考にした事例
営業担当として勤務していた40代の従業員Xさんが、通勤中に虚血性心疾患により死亡。
会社は弔意金100万円、香典50万円を遺族に支払いました。
翌月、Xさんの労働時間が月100時間超となっていたことが明らかになり
死亡退職一時金として500万円を遺族に支払いました。
これで済んだと思っていたところ・・・
遺族より「Xが死んだのは、会社に責任があるのではないか?」との申し出があり弁護士に相談。
「過去に労基署から度々指摘があったにも関わらず、会社側は長時間労働の実態すら把握
していなかった。賃金不払い残業も発生しており
安全配慮義務違反として使用者賠償責任が生じる可能性がある」と指摘を受けました。
その結果、約1年間にわたる対応が発生
さらに、逸失利益、慰謝料等の約4,100万円を会社が賠償することで示談が成立。
また、弁護士費用約120万円を支払いました。
■ 過労死の認定基準
政府労災の認定基準は
発症前1か月の時間外労働が100時間
発症前2~6か月の時間外労働が月80時間を超えた場合に
業務との関連性が高いとしています。
最近ではこの80時間が「過労死ライン」と呼ばれています。
ご参照:厚生労働省『脳・心臓疾患の労災認定~過労死と労災保険~』
■ 使用者賠償責任のポイント
過労死や過労自殺の労災認定の件数は増加傾向にあります。
近年では人手不足の傾向が強まり、従業員の長時間労働が社会問題となっていることから
政府も「働き方改革」を行っています。
長時間労働が生じているにもかかわらず、対策を講じられない中で
従業員の過労死が発生した場合には、企業側に安全配慮義務違反があったとして
使用者責任が課せられる可能性が高まってきています。
また、賠償額の高額化で企業の負担がますます重くなってきてます。
遺族から訴訟提起がされた場合、企業側での対応を誤ると長期化するだけではなく
深刻な風評被害を伴うケースもあります。
専門家のアドバイスと経済的損失のカバーが重要になります。
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キキ・コンサルティング
代表 石田 由紀子