こんにちは。
キキ・コンサルティング代表の石田です。
本日は、よく経営者の皆さまから「難しくて分からないよ!」と言われることの多い
【賠償責任保険】について解説したいと思います。
確かに難しい部分がございますので、なるべく分かりやすく記事を書きたいと思います。
■ 賠償責任保険の定義とは?
まず、賠償責任保険とは何でしょうか?
偶然な事故によって他人に身体の障害または財物の損壊を与え、これに基づき法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を担保する保険を指します。
わざとではなく
他人の身体を傷つけるか、他人のモノを壊して
法律的な賠償責任請求を受けていて(内容証明が届いた、訴えられたなど)
それによってかかる損害(賠償金の支払や裁判にかかる費用、弁護士費用など)
を補償する保険です。
■ 企業の賠償責任保険とは?
では、企業の賠償責任保険とは何でしょうか?
答えは「企業の賠償責任保険」というものはありません。
業務内容によって、「〇〇賠償責任保険」+「○○賠償責任保険」+「○○特約」という組み合わせでできている
と思っていただければ宜しいかと思います。
なお、企業総合賠償責任保険(CGL)とは、企業の事業活動に関わる賠償リスクを包括的にカバーするオーダーメイドの保険になります。
■ 具体的にはどんな種類と事故例があるの?
①使用者賠償責任保険
労働災害により従業員等に対し法律上の損害賠償責任を負い、その損害賠償金の額が「政府労災保険からの給付額」、「自賠責保険等により支払われる額」、「貴社が定める法定外補償規定等に基づいて支払われる額」の合算額を超過した場合に、その超過額が対象となる。
→従業員が長時間労働が原因でうつ病になり、自殺してしまい、労災認定された。
②施設(管理者)賠償責任保険
1.対象施設を所有、使用もしくは管理することによって、生じた対人・対物事故
→店舗の什器の留め具が劣化していたために什器が転倒し、お客様がケガを負った。
2.業務遂行によって生じた対人・対物事故
→営業写真が商談中に、うっかりお客さまの調度品を壊してしまった。
③昇降機賠償責任保険
エレベーター、エスカレーター等の昇降機に起因する賠償責任をカバーするもの。
→事務所のエレベーターが誤作動したことによりお客さまがドアに挟まれてケガをした。
④請負業者賠償責任保険
対象とする請負作業中に起こしてしまった対人・対物事故を補償。
1.工事・作業等の遂行によって生じた対人・対物事故
→ビル外壁の塗装中にペンキ缶を落とし、通行人の衣服を汚した。
2.工事・作業等を行うために施設を所有、使用または管理することによって、生じた対人・対物事故
→資材置場に積んであった材木が崩れ、遊んでいた子供がケガをした。
⑤生産物賠償責任保険(PL保険)
1.生産物に起因して生じた対人・対物事故
→被保険者が製造したオーブントースターが発火し、家屋を全焼させた。
2.仕事(作業)の結果に起因して生じた対人・対物事故
→設置ミスにより看板が落下し、通りかかった自動車を損壊させた。
⑥受託者賠償責任保険
物を預かって、その預かったものに損害を与えてしまった場合、その物の時価額まで賠償するもの。
→顧客からの預かり品である商品の入った段ボール箱をフォークリフトで運搬中、パレットから段ボール箱が落下し、中の商品が損壊した。
⑦業務過誤賠償責任保険
提供したサービスが原因で、取引先など第三者に損害を与えてしまい、損害賠償請求された場合に対応する。個人情報漏えい保険や、コンテンツ事業者向け業務過誤賠償責任保険など。
→外部からの不正アクセスにより、個人情報1万人分が社外に漏えい。急遽全国紙に謝罪広告を掲載し、1万人分のお詫び状と1000円相当の金券を送付。
⑧役員賠償責任保険(D&O)
経営に携わる会社役員、取締役等が、会社役員としての業務の遂行に起因して、損害賠償請求を受けた場合に補償を提供するもの。
→長年勤務している従業員が、評価が不当で昇級・昇格もない事に対し、人事担当理事に不満を訴え退職。その後、本来もらうべき給与差額について会社役員に対し元従業員から損害賠償請求がなされた。
■ 賠償責任保険は、最も保険らしい保険
弊社では、ヒアリングを重視しており、お客さまの状況を把握し、必要な補償をご提案させていただいております。
時には、保険でカバーせずに、そのままリスクを保有するご提案をする場合もございます。
たとえば、良く起こるけど金額が小さくて済むリスクの場合は、現金で賄うことが可能であれば
現状維持をご提案いたします。
ただし、賠償請求されると何かと費用が膨大になり、事業が立ち行かなくなる場合もあります。
賠償責任保険は、まさにそのような起こる頻度は多くないけれど、多くの資金力が必要となった時に補償する「保険らしい保険」と言えます。
■ 一度、現状を把握するところから始めましょう
今回は、以上のように企業の賠償責任保険について、まとめて参りました。
リスクマネジメントの基本として、まずは現状を把握するところから確認しましょう。
さらに、事業を継続させて行くために、どのようなリスクがあるのかを確認します。
そして、自己資金で賄えるのか?
賠償責任保険が必要なのか?
加入する場合はどの組み合わせで補償すれば良いのか?
しっかりと経営判断して行きましょう。
会社を続けてゆくために、家族と社員さんと社員さんの家族の暮らしを守るために。
ご不明点などございましたら、一度、お問合せください。
キキ・コンサルティング
代表 石田 由紀子