こんにちは、キキ・コンサルティング代表の石田です。
以前に投稿しました、「過労死・過労自殺...企業のリスクとは?」についての反響が大きかったので、もう少し具体的な事例を取り上げながら見て行きたいと思います。
■ 電通女性社員自殺事件
電通の高橋まつりさんの事件を通して、企業側の責任について考察したいと思います。
慰謝料が1億円~2億円とも言われている当該事件の概要です。
まつりさんは東大文学部を卒業後、2015年4月に電通に入社し、インターネット広告を担当するデジタル・アカウント部に配属されました。
代理人弁護士によると10月以降に業務が大幅に増え、労基署が認定したまつりさんの1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働は約105時間にのぼったそうです。
まつりさんは2015年12月25日、住んでいた都内の電通の女子寮で自殺。その前から、SNSで「死にたい」などのメッセージを同僚・友人らに送ってました。
三田労基署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害で過労自殺に至ったと結論づけました。
■ 本当に企業側に責任があるか?
以前も記事にしましたが、自殺は通常、労働者自身の故意であるため、労災認定されません。
相当因果関係が認められた場合に限り、認定されるものです。
今回の事件では、企業側も抵抗をしたようですが、恐らく1991年の「電通事件」という前例があるため、異例の速さで労災認定がなされました。
■ 企業責任とは何か?
端的に言って企業は次の3つの場合に、賠償責任を負うことになります。
①企業側に明らかに過失のある場合
②企業側が企業責任として、すべきことをしていなかった場合
③使用者賠償責任を問われる場合
今回の事件では、三田労基署が「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定しているため
①企業側に明らかに過失のある場合に相当します。
■ 企業側の責任は問われやすい
「うちの会社は関係ないよ!従業員とも仲が良いし」
そんな社長さんの声が聞こえて来そうです。
今回の事件のように、「明らかに過失」のある場合は皆さんの想像の範囲内だと思いますが
②企業側が企業責任として、すべきことをしていなかった場合
の場合でも、企業責任を問われることが多く、今日もどこかで争いが起きています。
②については、企業には安全配慮義務があり従業員の安全に配慮しなければならないため
就業規則を設けたり、健康診断を行ったりしなければなりません。
■ 安心して経営を行うために
まずは、客観的に「知ること」が大切だと感じます。
日本国で法人格を有している以上、様々な義務が課せられますので「知らなかった」では済みません。
今がどんな状況になっているのか知りたい
相談する相手がいない
1名でも従業員さんを雇われている
もしくは今後、雇いたいのだけどどうしたら良いのか分からない
そんな、経営者さまがいらっしゃましたら、どうぞお問合せください。
私も従業員の生活を預かる1人の経営者として、相談に乗らせていただきたいと思います。
キキ・コンサルティング
代表 石田